日本振興銀行の経営が10日、破綻した。
日本では史上初めて、ペイオフが発動され、1千万円超の預金の一部がカットされる見通しになった。預金者も自己責任を問われる時代となった。
日本振興銀行の破綻は10日朝、日本経済新聞と朝日新聞の朝刊で報じられた。「振興銀 破綻へ 預金1000万円まで保護 再生法きょう申請」というのが朝日新聞一面トップの縦見出し。「ペイオフ 初の発動」というのが日経新聞の一面トップの横見出しだった。
振興銀はこの日、預金保険法74条5項の「金融機関は、その財産をもつて債務を完済することができないときは、その旨及びその理由を、文書をもつて、内閣総理大臣に申し出なければならない」という規定に基づき、債務超過の状態にある旨を政府に届け出た。
これを受けて、金融庁は、日曜日である12日までの3日間について「すべての業務を停止すること」を同行に命令した。さらに政府は同行を公的管理の下に置くことを決定し、預金保険機構を金融整理管財人に選任した。
「お知らせ」の紙が張り出された日本振興銀行本店の店頭=10日午後、東京都千代田区神田司町で
東京都千代田区神田司町にある振興銀行本店はこの日、ドアを閉じたまま。店頭のガラス壁の上に4枚の紙が張り出され、その下の4つの封筒の中にそれぞれ4種類の紙が入れられていた。通りがかりの人が時折、それらの紙を取り出し、持ち去った。いずれもA4サイズで、うち1枚は預金保険機構の「お知らせ」。残り3枚は振興銀行自身のもの。
「預金者のみなさまへ」と題された紙には、「元本1000万円までとその利息が全て保護されておりますので、ご安心ください」と記載されており、「利息」については、「破たん日までの利息をいいます」と注がつけられ、さらに「破たん日は、9月10日です」と付け加えられていた。
10日午後の時点で、インターネット上の振興銀行のホームページは「現在メンテナンス中のため、サービスがご利用いただけません。ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ございませんが、時間を置いてから改めてご利用いただけますようお願いいたします」というメッセージを表示していたが、その後、夕方までに復旧。そのトップのもっとも目立つ場所には「預金保険機構ホームページはこちら」というリンクが置かれ、さらに、「当行に対する管理を命ずる処分について」と題する社長名義の「お知らせ」が掲載された。債務超過に陥った直接的な原因について、その「お知らせ」には「貸出金についての貸倒引当金の計上、訴訟損失引当金の負債計上等の会計処理の結果」と記されていた。
預金保険機構のホームページでもトップページの冒頭で「重要なお知らせ」として、振興銀行に関する問い合わせの電話番号が案内され、さらに「現在当行は業務を一時的に停止していますが、来週13日(月)午前9時から営業を再開する予定です」などの記載のある書類が載せられた。
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